おおさかぐらんま

大好きな旅と自転車とバイクのお話です

翼になったJAZZ

もう10年も前、1泊のバスツアーで蓼科のバラクライングリッシュガーデンに行った時のこと。

そのときは一人参加の男女別相部屋プランで行ってました。

多分一人部屋より5000円安かったからかな。

往路のバスは一人1席、お隣さんがいました。

彼女の名前は佳子さん(仮名)、当時私より7歳くらい上でした。

最初はぎこちない会話で始まりましたが、なんせ蓼科まで道のりは長い。

段々に打ち解けお互いの自己紹介が始まります。

そして私がバイクに乗ってる話をすると、「私も乗ってた!ホンダのJAZZ!」

美子さんは20代の頃、「とにかく!とにかく自由になりたかったの!」でJAZZを買ったそう。

何からそんなに自由になりたかったのかは、語ってくれませんでしたが、

期待どおりにJAZZは翼をくれたそうです、当時はヘルメットの着用も任意だったらしく

長い髪をなびかせて走る事は無情の喜びで、何事にも代えがたい時間だったそうです。

以前女性ライダーの集まりで誰かが「広げた翼はたためないのよ」と言ってました。

今の私の翼は電動自転車、イーグルからスズメの大きさに変わりましたが

一人で風を感じて走れる自由は変わりません、たとえ前かごにネギや大根がおってもね。

そして、5時過ぎに宿についたので6時半からの夕食には間があります。

飲みたい人なら先にお風呂に行くでしょう、当時は私も飲んでたので一人ならそうしてたかな。

しかし佳子さんは、「美味しい紅茶を持ってきたからティータイムにしましょう」

紅茶はティーバッグで、銘柄は忘れましたが、

びっくりするくらい美味しい紅茶でした。

そして翌朝、佳子さんは前髪にこだわりがあるらしく、

持参のドライヤーでくるくるくるくる、納得するまでセットされてました。

帰りのバスは一人2席、佳子さんとは席が離れてしまい、

何となく連絡先を聞くタイミングを逃してしまいました。

残念だけど、それも旅の醍醐味かな。

帰ってからお土産にもらった紅茶をのみながら

「バラクラのオーナーのケイ山田さんにあって写真を一緒に撮った!」

とまた嬉しそうな佳子さんと素敵な薔薇のガーデンを思い出し、

珈琲一辺倒だった私を、紅茶の世界に引き入れてくれた佳子さん。

車庫で眠ったままの、「絶対売らない!」

と言ってた魂のJAZZをもういちど蘇らせているでしょうか。

きっと今日も元気でこだわりの前髪をくるくるしてますよね。