セーラームーンはゼファーに乗って
あれは蒸し暑い梅雨の夜、夫と車で親戚の家に向かっていた時の事です。
国道を西に向かって走っていると、ふと前方に白い羽根が見えました。
よく見ると、メイドのコスプレの女の子がバイクの後部シートにいました。
ミニスカートの下には網タイツ、手にはウサギのぬいぐるい、背中には白い羽。
もちろんしっかりヘルメットはかぶっていますが、
私の世代には、どうしてもセーラームーンに見えてしまいます。
前で運転しているのもメイド風の女の子、スカートの下はショートパンツ。
すらりと伸びた白い脚に、ストライプのオーバーニーのソックス。
サラサラのロングヘアーを風になびかせています。
どちらも眩しく逞しい青春のオーラを放っています、そして可愛い、最強。
思わず窓を開けアイドルを見つけたかのごとく、何か叫びながら彼女たちに手を振ります。
車のライトだけでははっきりわかりませんでしたが、
多分あの鋼管フレームは、ネイキッドの立役者ZEPHEYR400
一体彼女たちは幾つくらいなんだろう、今から何処へ行くんだろう
笑いながら手を振り返してくれるセーラームーン達をみながら
学生なのかな?働いているのかな?
人生に”もし"はないというけれど
もし彼女達の年頃にバイクに乗っていたら、私の人生は全く違っていたんじゃなかろうか。
下妻物語になってたかしらん?
そんなことを思っていたらやがて交差点に近づき、
セーラームーン達を乗せたバイクは左にウインカーをだします。
全くぶれない走り方や、武骨なバイクの選択。
左手で軽く敬礼しながら走り去っていく、男前すぎるセーラームーンライダー。
私には夏の夜の夢物語でした。